愛を確認しちゃう

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十分なほど幸せ

ネガポジポジの各チームを観てきたエモーショナルな感想

おぼろげな記憶を留めるために書いておきます。
エモーショナルな感想なので、話が飛び飛びだったり誇張が過ぎたり、深読みしまくったりしてます。ご了承を。

観た順番がA→C→Bなので、その順に感想を並べます。
以下目次。

Aチーム 11/3 初日

おぼろげになりつつあるので、当時のツイッター遡りながら。


・影アナが終わると流れてくる、ディスコ風アレンジのネガポジポジインスト。あれはクセになる。
まず始まり方がカッコよくて、舞台上の椅子に登場人物が全員座っているあの感じ。
そしてなんだかものすごく騒がしい。ステージ上には常に誰かがいて、目が足りない。
全編歌っていてミュージカル風、オペレッタというのかな、それが楽しかった。

・正直、初日で慣れていないせいもあったのか、歌唱力不足は否めなかった。また、これも初日ということで、笑いどころっぽいところでも客席は静かだったため、滑ってる感もあった。
・でも、公演を重ねるごとにこなれて良くなるのだろうという期待感が見ていてすごかった。

・そんな風に眺めていると、突然の暗転。
カチッ、カチッ、と、ライターを点ける由美。りこりこ。
無音で、座ったり、寝転がったり、鍋を眺めたり。
ゾクゾクしました。なんだこれは、と。
りこりこの持つドールっぽい可愛さ、何を考えているのかわからないところ、彼女のセクシーさ、妖しさ、が存分に活かされていた。
無音で、一人で、ステージ上で、こんなに長い尺で。
とにかくびびりました。心を掴まれた。

・物語は進み。
リリウムのシルベチカのように、舞台上をフラフラとさまよう由美りこりこ。そのみすぼらしい格好がりこりこはなぜかよく似合っていた。マッチ売りの少女みたいな、儚げな感じ。
ウインドウズの歌では後ろでセクシーに踊り上げていました。りこりこの姿に目を奪われました。

・そして、りさと由美が本音でぶつかるラストシーン。
これを見て端的に的外れに伝えるとセックスしていた、と表現した自分を自分で褒めてあげたい。まさにそうだった。
あの生身の感情のぶつかり合いと、その果ての一種のカタルシス。りさと由美という役を超えて、加賀楓山岸理子が垣間見えるほどの感情の発露に、こちらの心まで揺さぶられました。

・まあそんなこんなで、ぜひ他チームも見に行きたい、と思えるほど良い公演でした。そして、つばきメンではリサ樹々が元々気になっていたので、リサ樹々Cチームのラストシーンが見れたら極上の幸せに浸れるだろうなと、既にこの時から予想していました。自分で自分を褒めてあげたい。

・「ってか放火のネタ回収されないんだろうなと思ったらほんとに回収されずに終わったな…」と釈然とせず、後日狼の感想などを読みあさっていたら諸々の事実に気付き、ますますネガポジポジ沼にはまったわけです。

・るみ役の桃々姫ちゃんが子役!といった感じで演技も上手くて可愛いかった。

・アンサンブルの小野瑞歩ちゃんに見惚れてしまいました。つい日替わり写真を買ってしまうほど。新メンバーということで全然知らなかったのに、アンサンブル見たらメロメロになってしまいました。笑顔でニコニコしていたのが印象的です。しかし、今思うと彼女は「カゲ由美」役。「カゲ由美」はなぜあんなにニコニコとしていたんだろう。まあもちろん、小野瑞歩ちゃん自体、いつもニコニコしてる方の子なのですが。今思うとやっぱりAチームはトリッキー。


Cチーム 11/17


・Cチームの「りさ」は、Aチームりさに比べてめちゃくちゃ我が強い印象だった。

かえでぃー演じるりさは、言いたいことが言えない性格、根本的に自分に自信が無く、キラキラした由美に対して引け目に感じているんだろうなと思ったけど、りさまる演じるりさは「せんべい屋の娘に生まれてなけりゃああたしだって!!!」みたいなものすごい負けん気というかパワーというか、強烈な卑屈さを感じた。


・Cチームはアドリブを含め、本当の姉妹のようだった。特にりさと舞の掛け合い。可愛かった。由美の前でなければりさはこんな感じで素直なんだよ、という対比としてもわかりやすかったし、笑いを誘うシーンとしてもすごく良かった。


・Cチームは歌が良い。りさまるの声も良い、樹々ちゃんの歌も良い。高音をりさまるがブレずに一発でポンと当てて歌っているときとか惚れ惚れした。この舞台は心情描写にしろシーンの雰囲気作りにしろ歌が資本だと思うので、かなりこれは高評価。


・りさまるの特技けん玉を見れて幸せ。関係者席、特にあやぱんが笑ってたような気がした。声だけだけど。あやぱんはりさまるのシーンで特に笑ってた印象。声だけだけど。長く過ごしてきた仲間として、あやぱんはりさまるの演技やアドリブをどう見たかな。


・りさまるアドリブ多いな!と思った。「りさ」は控えめなのに、りさまる自身の性格はSっぽいので、アドリブの度に興奮した。「りさ」と「リサ」を飛び越える瞬間の面白さというか。これはりさまる自身は「りさ」っぽくない性格だからこその面白さかな。クールに見えるりさまるがアドリブを仕込むってだけで面白いんだよね。良かった。

・特に印象的だったのが、由美が油を注ぐシーンのアンサンブルりこりこ、つまりAチームの由美。あのシーンは由美自身とても躊躇っていたように見えたし、アンサンブルりこりこも、躊躇うように振り向きながら戻っていった。そしてアンサンブルかえでぃーも、強気に見えるCチームりさの弱い一面を表しているような気がした。「アンサンブル≒カゲ◯◯は素直な心説」を推していきたい。

・舞役のおのことちゃんが良かった。正直、Aチーム舞役のほりえってぃーがハマりすぎていて、これは超えられないだろうとか思っていたけど、おのことちゃんもめちゃ良い。舞はいい役だなあ。主演のりさと由美、そしてラブシーンを演じる四女るみと川上に対して、舞は基本的にコメディエンヌなんだけど、相手役がいないからこそ個人の力量、センスがそのまんま活かされてる。舞はいい役だ。
・由美が貧乏になってボロボロの服着ているところ、樹々ちゃんのセンスが良すぎてまるでパリコレの新作みたいな前衛的ファッションに見えてしまった。可愛い。

・Cチーム川上きゅん可愛すぎでしょう。顔は一番イケメンだなと思うのに、ぶっちゃけ一番可愛かったの川上きゅんなのではないか。可愛い。


・元はちきんあやのちゃん、この子がそうか!と納得。確かにスタイルといい華といい、目を引きまくる。(初日Aチームのときは小野瑞歩ちゃんにメロメロであまり見る余裕がなかった、、、)

手をグルグルするダンスのとき、めちゃくちゃ高速で回していたのがちょっと面白かった。


・途中までりこりこの霊圧が感じられなかったけど、ちゃんといた。そしてりこりこはダンスのときの表情、表現力がズバ抜けていると気付いた。他の子はにこにこ踊っていたり、かえでぃーとかは黒子に徹すように真面目な顔なんだけど、りこりこは顔でもセクシーに踊っている。それってダンスが踊れる人の芸当だ。
まあ不幸なのか幸いなのか、まだりこりこ本人には色気がほとんどないんだけど、ダンスはとてもセクシー。肩の使い方なんて素晴らしい。この子がつばきファクトリーとしてデビューすること、これから先、ダンスをもっともっと見られるであろうことを、本当に幸せに思った。


・Aチームのときは、ウインドウズの場面の後方でマウスを使いながら踊る由美(りこりこ)がめちゃめちゃセクシーで、そちらにばかり目が行ったんだけど、今回はそうはならず笑 まあ、樹々ちゃんがそんなにセクシーでも心配になっちゃうからいいのだ。


・Cチームのラストのシーンは前評判通りやばかった。
2人がお姉さん座りみたいな体勢していて、前方の樹々ちゃんにすがるように抱きつくりさまる、という図のところ、マジでセックスの雰囲気すぎて上着で顔を覆いそうになった。なんだあれは。あれを観るためだけでもお金を払った価値がある。10代の女の子のあんな姿、あんな顔、普通は見れない。物凄いものを見た。元々アドリブを見るとなんか気恥ずかしくなっちゃう性格なので、りさ由美、というかリサ樹々がアドリブ混じりに好き!って言い合うの、ものすっごい照れた。照れた。
以前樹々ちゃんがブログで、暗に「千秋楽までに◯◯したい」みたいなことを匂わせていたので、もしやキス!?という期待感というか、多分しないだろうとは思ってたけど、年末ジャンボ宝くじの当選発表を見るような気持ちで見ていた。結局しなかった。けれど、その後こたつに2人で並んで入るシーンでにこにこ笑い合っていたのを見たら、千秋楽では本当にキスするのでは?なんて思ってしまった。→結局しなかったみたいで一安心。

・Cチーム由美は好きという気持ち、友達になりたいという気持ち、謝りたいという気持ち、がわかりやすく表現されていたように思う。これは追加セリフとしてあった「遊びに来たかったよ!」というセリフからも伝わる。

・しかし、演技力歌唱力の高さに隠れて、実はCチーム由美は方向性が見えにくかったのでは。
大千秋楽後の樹々ちゃんブログでも、悔しい気持ちがまだあり、自分らしい由美がどんな由美か、わからない部分はまだたくさんあると書いています。

私らしい由美がどんな由美なのか
自分でも分からない事はまだたくさん
あるし、変な気持ちで悔しい気持ちもまだあるけど、、、


ここで終わりじゃない!

終→続 浅倉樹々|つばきファクトリー オフィシャルブログ Powered by Ameba


・Cチームは、最終的にはりさ(りさまる)の母性にかなり助けられていたと思います。
ラストシーン、樹々由美はどれくらい自分のことを好きかとりさに問いかけ、お母さんくらい好きだと言われ、散々好きと言われ、言い合い、ようやく、ようやく素直になり、謝ることができます。一番由美が救われたのは、きっとCチーム。

・Cチームの由美は、放火を躊躇っていたあの時からずっと、救われたかったんだよね。
だから、 強いて言うならCチームの辿り着こうとした答えは、求めていた救いと母性への回帰だったのではないでしょうか。
Cチーム由美がずっと求めていたのは、許しであり、甘えであり、上辺だけでない無条件な存在の肯定。
母親不在で、父親にすがるしかない自分。全部父親の影響で、由美の人生は動かされてる。それを救ってくれる人を求めていた。

・一方のりさは父親がおらず、しかしポジティブで下町的なあたたかい家族の中で生きている。
浪人、無職、引きこもりと、男性的な社会的強さはかけらもないりさ。テレビに影響されやすく、流されやすい。りさは由美の残した地図を見ても、意味を一生懸命考えても、悪く考えるのはやめようとする。りさはあまりに甘くて甘くて甘い。
だからこそ、由美はりさに救いを求めたのではないか。自分よりカーストが低く、だけど片親という境遇は同じ。そして自分が燃やそうとした家の子。甘く優しすぎるりさに。
・由美は許しや救いを求めたからこそ、あの日頼めなかった蕎麦、そして天ぷら蕎麦を作ろうと、なにか贖罪のように蕎麦屋でアルバイトをしているのではないか。

・だけど救いとか母性とか、そんな答えまでCチームは持っていけてなかった、と思う。そんなテーマは大きすぎるし重すぎる。設定だけなら、父親不在母親不在の対称性、父親のいいなり、父親不在と社会性の欠如、上辺だけの肯定とプライドの高さ、などというピースは散らばっていましたが、それらを拾い上げ結びつけることは、あまりに難しいと思います。だからこそ、あのラストシーンの、全てを包み込むような濃厚な感情のやり取りに助けられている部分があります。

・そういうわけで、Cチームラストシーンは、百合っぽい雰囲気でした。甘えたで勝気でワガママっぽい樹々ちゃん、クールで艶っぽくしかし熱く吠えるようなりさまる、これらが混ざり合うと百合っぽくなるというのは面白い。それはりさまるの母性、優しさ、そして救いを求めた由美樹々とが絡み合った結果なのでしょう。

・しかし、りさ(りさまる)が母性的な救いを提供していたのに対し、結局、由美樹々が表現しようとしたのは、「好き、友達になりたい、仲良くなりたい」という甘酸っぱいまっすぐな答えだった気がします。そのズレがあったからこそ、百合「っぽい」で留まれた。もし二人の解釈が友情で一致すればBチーム的なさわやか友情エンドになっていただろうし、母性や救いという解釈に一致すれば、さらに濃密でむせ返るような同性愛的エンドになっていたのでは。その二人の間のズレが惜しいようで、だけどギリギリのラインを攻めていて、良いなと。あくまでこれは小劇場の濃厚な舞台ではなく、研修生をメインに据えた若者の爽やかな舞台だから、やれるのはここまでなのかなとも。

・あと、Cチームを観たから気付けたこと。
貧乏になった由美が再びりさの前に姿を現した大晦日、りさにマキコからポケベルで連絡が来るけど、結果的にりさはマキコの元へは行かなかった。りさは、オシャレでテレビのオーディションにも出て貝殻みたいなイヤリングしてイケイケでおまけに仕事も紹介してくれたマキコではなく、貧乏になってすっかりみすぼったらしくなった由美を選んだ。そんな風に思えます。


Bチーム 11/19 朝公演

・Bチームはレベルが高かった!ハロプロの芝居というと贔屓目に見てしまうところがありますが、それを抜きにして、とてもレベルが高い。ハロプロを知らない人に見せるなら、Bチーム公演だと思います。

・特に、由美役の高瀬くるみちゃんの演技は圧巻。芝居も歌も、間違いなくトップクラス。調べると、小2の頃からミュージカルを習っており、主演の経験もあるそう。そりゃ上手いわけです。
ちなみにNHKの「オトナヘノベル」でくどぅーと共演していたのが高瀬ちゃんだそうです。普通に役者さんだと思ってた。びびった。

・そして主演でありながらダークホースとも言えるのが、りさ役の小野瑞歩ちゃん。舞台は初めてという小野瑞歩ちゃんだけど、高瀬ちゃんに引けを取らない。普通、演技の実力差がありすぎるとどちらかが浮いてしまうと思うんですが、瑞歩ちゃんは高瀬ちゃんと絶妙にマッチしていました。そして歌唱面では、その通る声で明朗に歌い上げていて、非常に気持ちが良かった。

・何より小野瑞歩ちゃんは、アドリブ力が素晴らしい。各チーム共通のアドリブシーンで、明確にオチにつながるアドリブを長尺で入れてきたのは多分瑞歩ちゃんだけじゃないかな?脱帽しました。加えて瑞歩ちゃん、ユーモアがある。高瀬ちゃんが瑞歩ちゃんのとあるアドリブでツボってしまい、観客がどっと笑うという場面も。

・メタ的な話になりますがBチームは、女優魂ビンビンな高瀬ちゃんが、舞台が初めてという瑞歩ちゃんの豊かなアドリブに振り回されるような形になっていたのが、対照的で非常に楽しかったです。少年漫画で例えるなら、高瀬ちゃんが経験豊富で才能溢れるクールなライバル役、そして瑞歩ちゃんが、新人にも関わらずその天性のセンスでめきめき成長していくニコニコ笑顔の主人公、といった感じでワクワクが止まりません。アニメ化してくれ。

・Bチームは高瀬ちゃんのおかげで安定感があり、小野瑞歩ちゃんのおかげで素敵なアドリブを見ることが出来ました。いわゆるアドリブって、「はい今アドリブやってますよ」感が出てしまいがちですが、Bチームは演技力がしっかりしているのでアドリブにも余裕がありました。アドリブが活きてました。そしてオチにも繋がる伏線を入れていたのは、さすがの一言に尽きます。一つのお芝居として素晴らしかった。


・Bチームの由美は、お茶目。そして掴み所がなく、ふわりふわりとしていました。あまりにふわふわしすぎていて、すぐどこかに飛んでいってしまいそうな、そんな雰囲気。その雰囲気が、世間知らずのお金持ちのお嬢様という感じで似合っていました。そしてアドリブにも表れていましたが、ちょくちょくりさをおちょくる感じ。馬鹿にしてるの!?と思ってしまうのもわかる。でもそうじゃなくて、友達になりたかった、仲良くなりたかったんだよと、掴み所のないふわふわした由美が、全部を失った由美が最後に素直に言うのは、とても可愛かった。

・由美が火を付けようとするシーン、Cチーム由美のときはかなり躊躇いが窺えたのですが、このBチーム由美はすぐにでも火を付けてしまいそうに感じました。火をつけるまでの間は、まるでただの気まぐれ、のような。逡巡とは言い難い雰囲気でした。アンサンブルとして出ていた樹々ちゃんも、Cチーム公演のアンサンブルりこりこが躊躇いがちに振り向いた後に戻っていくのとは異なり、さっと躊躇いなく帰っていく様子でした。


・この舞台のクライマックス、由美がりさを追いかけるシーンでもBチームの特色が出ていました。気付いたら、なぜかりさが追いかける側に回っていて。なのに、客席への階段を降りるりさを由美が追いかけてこなくて、りさが「なんで追いかけてこないのよ!」なんて怒ったり。りさをおちょくる由美が、本当に可愛かった。
和解した後、こたつ入ろっか、とりさが誘うと、由美はこたつの中ではなく、天板の上に座り、りさを手招き。そして由美の膝の上にりさが座ります。Bチームのりさは最後まで、由美に翻弄されていますね。実年齢でいうと高瀬ちゃんは高3、瑞歩ちゃんは高1で瑞歩ちゃんの方が年下というのも、良い味を出しています。



各シーンごとに振り返る

由美が火を付けようとするシーン

・Aチームは何をし出すかわからなかった。ライターなんて手に持って、油を注いで、何を、何を何の目的で?どうして?何を考えている?と、まさにりこりこのブログにもあった狙い通りにトリッキーで、そして妖しげで、演技として非常にそそられました。Aチームの良さとは舞台の妙であり、その芝居の美しさであり、そこに解答はいらない気がします。

・Bチームはさらりと火を付けようとした印象があります。Bチーム由美は放火や自分のしている父の手伝いを、悪いこととは思っていないのでは。純朴ゆえの過ちのような気がしました。地図は何なのかと聞かれ由美が「それはおっとうが…」と2回目の大晦日で言うセリフがありますが、それはおっとうが命令したからとか、おっとうに言われただけだよ、とか、Bチームの放火のシーンではそんなセリフが続くような、自分の責任とは思わないような、そんな気がします。おっとりとほわほわして、お金持ちであることやそんな危ない手伝いも、ありのまま受け入れていた気がします。
私にとってBチーム由美は、ふわふわとして、たんぽぽの綿毛のような心地よくつかみどころのない、つかまえさせない子でした。

・Cチームは、火をつけるのをあからさまに躊躇っていました。アンサンブルでカゲ由美のりこりこも、躊躇いがちに去っていきます。父の命令から、嫌々、火を付けようとしているのかなという風に思えます。
しかし、Cチームの由美は難しいです。前述のように樹々ちゃん自身、自分らしい由美について迷っていた節がブログからも窺えます。

・「私あの子の何かを助けるべきなの」と歌うりさ。火を付けようとしている姿を見て、そんな風に歌うなんて、物凄いと思った。助けたがりかよ。
りさは結局、あの放火未遂について悶々と考えたまま、ずっといなくなった由美のことを想い続けます。

・最初に見たときは、そんなに長い間、いなくなった由美のことを思い続けられるものかな?なんて思ったんですけど、色々把握した今思うと、なんかこれ、すごくわかるんですよ。
なんでもできてお金持ちでおしゃれで、友達なんだけどそれも上辺みたいな感じで。そんな女の子の、闇の部分を垣間見てしまった。不完全な部分を見てしまった。それから彼女は、姿を消してしまった。
友達じゃなかったからこそ、気になって気になって気になり続けて当たり前なんですよ。
あの子何を考えてたんだろう、何をしにきたんだろう、放火しにきたんだろうか、それだけが目的なのか、そんなに私のことが嫌いだったんだろうか。だとしたらどうして? 気になって仕方ないのも、なんだか今ならわかります。

貧乏になった由美がまんでん家を訪れ、助けてほしかったと心の中で言う

・これは金銭的に助けてほしい、ということもあるだろうし、精神的にも救われたかったのかなと思った。
友達の家を燃やさなくてはいけないという状況。しかも地図や「父の仕事を手伝っている」というセリフから、このような放火、それに類することをしたのは、一度や二度では済まないのでは?
由美自身がそれをどう思っていたかは各チームの解釈によると思うけど、火をつけようとする由美の姿を見て「何かを助けるべきなのか」とりさが思ったことは事実で。実は最初の大晦日のときから、由美は精神的な面ではきりきりと、追い詰められていたのかなあなんて思います。

りさと由美が仲直りするシーン

AとBとCで一番このシーンは異なっていました。

・Aは熱演、なんて感想を見かけましたが、まさにその通りだと思います。見ているだけで、その感情の揺らぎでこちらまで、涙が出てきました。
芝居なのに、芝居を超えて役者本人の心が溢れて、境界線が曖昧になって、そんな風にさらけ出していることに、また心が熱くなって。
トリッキーさを求められていたのにも関わらず、こんなにも熱い芝居。山岸理子加賀楓の実力の賜物だと思います。大団円という言葉が、まさにAチームの終わり方には似合います。

・BはAチームに比べるとコミカル。しかし、あくまでも枠の外にはみ出さない、芝居の空間を守る芝居でした。
先にも書きましたが、一つの完成された舞台として観るなら、間違いなくBチームです。他のチームはこのシーンで、りさと由美というよりも演者自身が表に出てきているのですが、Bチームは高瀬ちゃんのおかげで、この自由すぎるアドリブ空間においても役が崩れませんでした。さすがです。わかりやすく(?)言うと、唯一Bチームのラストシーンだけはセックスに見えませんでした。それが良いかは悪いかはともかく。素敵で愉快な二人の追いかけっこ、そんな感じでした。私はBエンド、かなり好きです。爽やかなドラマや漫画みたいでした。
そして、そんなしっかりした高瀬ちゃんの芝居と心を引っ掻き回す、瑞歩ちゃんの由美。高瀬ちゃんの芝居を崩すためのトリガーが、小野瑞歩ちゃんなのです。素晴らしい配役バランス。高瀬ちゃんの完璧さと瑞歩ちゃんの自由さを持ってして、Bチームネガポジポジは硬軟両者を併せ持つ、親しみやすくレベルの高い芝居となっていました。

・Cチーム。前評判通り、ラストシーンは百合でした。百合でしたって曖昧なんですけども。
目を背けてしまいそうになるほど、濃厚で情緒的な触れ合いでした。狼に「レズビアンの痴話喧嘩に見えた」って感想がありましたが、それもわかる。劇中年齢ではラストシーンりさ由美は26歳のはずなんですよね。それがあんな風に抱き合ったり好き好き言い合うってなんかもうそれ(それ)。
抱き合いながら背中に回す手をちょいちょい動かして、さらにきつく抱こうとする感じが物凄かった。多分やってる本人たちはそこまででもないんだろうけども、見てるこっちにはとんでもない破壊力。
この百合っぽさ、濃厚さは小片りさまるの才能が大きいかと思います。アンサンブルとしてりさまるが出演していたチームBでも、由美のシャワーシーンの時、妖艶にシャワーホースを巻きつけていました。あまりにセクシーに由美に顔近づけるのでキスするかと思ったよ。マジやばいなりさまる。
そして確かに、このシーンの感情の濃厚さは圧巻なのですが、果たしてこれはりさ由美かというと、もうこれはリサ樹々だったと思います。一番役者本人が表に出ていたのはCチーム。

軽く謎考察

母和子は地上げに気付いていたか?

本当に恋愛的な意味で言い寄られてると勘違いしていたとも、子供達の前だからばれないようにしていたとも、どちらの解釈も出来ると思う。札束入りの花束を渡されても、それが恋だと思っているという解釈なら、まんでん家の、そしてりさのポジティブさは和子由来のものだと思う。実際にりさ以外の子供達は、長女の未知でさえ、由美の父が地上げ行為をしていたとは気付いていないように思える。

ではりさは由美の放火の意図に気付いていたか?

気付かないようにしていた、のではないか。
当時地上げのことはわからなくても、火をつけようとしたことについて考えていれば、気付くときがあったと思う。
だけどりさはポジティブになり、放火未遂のことも「悪いようには考えないように」したから、気付いたとしてもそれが真実だとは思わないようにしていたのではないか。

由美は本当に蕎麦アレルギーか?

・Aチームは蕎麦アレルギーについて特に触れてなかった記憶。Aチームはとにかくトリッキーなので、どんな言葉さえも嘘のように見えて仕方ない。そしてそれが全て効果的に思えます。
・Bチームはアドリブで明確に、蕎麦を頼むのを避けようとしていることから、「蕎麦アレルギーは真実」という解釈で演じていたと思う。わかりやすかった。
・Cチームはアドリブで、蕎麦の固さ柔らかさについて由美が話していた。でも、そんな固さの違いなんて蕎麦アレルギーの人からは出てこない感想な気がする。つまり、「本当は蕎麦アレルギーではない」解釈で演じていた、という考察ができそう。
しかしCチームの場合、そんな嘘をつく必要性はあまり感じられない。「やっと素直に言える、これからは本当のことしか言わない」と歌ったあとで、あんなにいちゃいちゃと甘えた後で、りさに対して嘘をつく必要があるのだろうか。まあ単純にアドリブだっただけで深読みのしすぎかな。


おわりに

ネガポジポジ、本当に楽しかった。
つばきメンブログで稽古の様子を読んでいるときから、「これは絶対に面白いものになる、ベリの三億円少女に匹敵するくらいの舞台になる!」と思っていました。
その思いが現実になっていて、本当にうれしかったです。
お金があれば全公演入りたいのに、なんて思えた舞台は初めてです。

ここまでネガポジポジにのめり込んだのには、色々理由が重なっていると思うのですが、その一つにはAチームの初日公演を見た翌々日に、ももちの卒業と引退が発表されたことも大きかったのかなと思ってます。
ネガポジポジのおかげで考えずにいられたけど、気付けばあれからもう2週間も経っていました。
そういう意味でも、ネガポジポジの存在はありがたかったです。

楽しかった。たった三回だけしか見られなかったけど、夢のような空間でした。
またあのやけに丁寧語な影アナが聴きたい。ディスコ調のイントロが聴きたい。椅子に座ってかっこよく並ぶキャストが見たい。みちりさまいるみの歌が聴きたい。結構気ぃ使うねぇも、これがオープンハートせんべいだ!も、ライターの鳴る音も、油を注ぐ音も、もういっちょも、Windowsの歌も、アンサンブルのダンスも、居間はだめも、ラストシーンも、最後の歌も、全部全部。

本当にありがとうございました。
楽しい楽しい舞台でした。
感謝祭絶対やってくれよな。頼むぜアンドリウ。

エモーショナル感想終わり。